ブログ「社会保険労務士 小岩広宣の「勝ち組」への ステップアップ法!」の記事
絶望の国の幸福な若者たち。
三重県鈴鹿市の社会保険労務士・小岩広宣です。
最近読んだ本の中で、一番インパクトのあった一冊。
古市憲寿著『絶望の国の幸福な若者たち』。
26歳の気鋭の社会学者による、話題の若者論。
いま各方面で注目されている本ですね。
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なぜ、社労士が若者論なのか?
答えは簡単で、若者論には時代を読み解くヒントが凝縮されているから。
これは、いつの時代にもいえることです。
雇用にしても、年金にしても、本質は世代間格差の問題だともいえる。
その意味で、これからの時代の流れを見据えた目線が欠かせません。
「一泊二日で友達と千葉にバーベキューに行く幸せ」。
これが今の若者の小さな幸せを大切にする価値観。
決して、「今日より明日が良くなる」とは考えません。
コンサマトリー(自己充足的)=「今、ここ」の身近な幸せ。
そして4年に1回、ワールドカップのときにだけ、熱い「日本」が登場するのです。
もし戦争が起こったら、身を守るためにまず逃げることを考える。
例えるなら、幕末の長州藩の民衆の行動と同じ。
著者は、これは歓迎すべきことだといいます。
平均的な日本人は、ルイ14世より豊かな生活を送っています。
少々の不平不満を抱えても、ことさら「革命」に走る社会ではないのです。
3・11後の日本の若者の意識、そして活動は素晴らしかった。
不謹慎な表現を覚悟でいえば、「ずっとワールドカップが続いているよう」。
若者たちは「日本が大好き」であり、「ひとつのチーム」だと信じています。
それでも、「終わりなき日常」は、これからも続いていくのです。
近代以来の「国家」の枠組みが、広い意味で薄らいできている時代。
年金・医療の世代間格差は、なんと1億円にものぼります。
そして、若者はしだいに正社員になれない雇用の構造になりつつあります
ただ、若者は「1億円トクする」といわれても、団塊世代にはなりたくない。
「若者の貧困」を本当の意味で憂いているのは、じつは企業社会です。
このままの流れで外国人労働者を受け入れなければ、経済じたいが成立しない。
中国には、「都市戸籍」と「農民戸籍」という身分制があります。
前者は豊かなのに不満を抱え、後者は貧しいのに幸せだと思っている。
日本はこの構図に近づきつつあるのではと著者は指摘します。
近代社会が求めてきた「二級市民」は、いまの日本にはいなくなった。
若者の「二級市民」化が、加速していくのでは・・・。
こうした古市氏の考察・分析に、私もおおむね賛成です。
さすが気鋭の社会学者の慧眼だと思います。
ただ、結論の部分には、若干の異論があります。
著者は、これからの時代、必ずしも「日本」にこだわる必要はないと主張します。
「日本が終わる? だから何?」。
本当にそうなのでしょうか?
狭い意味でのナショナリズムは、確かに多くの危険をはらんでいます。
でも、国家という単位は、あらゆる文化や習慣の象徴でもあります。
これが溶解すれば、私たち一人一人のアイデンティティーもまた溶け出すのでは。
だからこそ、著者の指摘は鋭いのだとも思いました。
すなわち、これからの社会の行方(世代間格差)を論ずるときに大切な視点。
それは国家観であり、歴史観であり、社会観だということ。
雇用問題にせよ、年金問題にせよ、いまはこれが抜け落ちてしまっています。
だから、どうしても数字合わせの議論に終始してしまうのです。
もういちど、国のストーリー、そして国民の背負うバックボーンを意識すべき。
私たちはどこから来て、どこに向かおうとしているのか?
それを知るために何を学び、これからの時代のために何をなすべきか?
これはもちろん国が押し付けるものではないと思います。
しかし、こうした意識を強く再認識することこそが、いまの日本に必要なのでは。
容易に世代間格差を埋める仕組みはつくれないからこそ、過去の叡智に学ぶべき。
これまでの研究を明晰に整理し、これからを読み解く貴重な視点を指摘した論考。
その意味で、本書は素晴らしい一冊だと思います。
いまの若者、いまの時代の流れをしっかり学びたいという人には、必須ですね。
雇用、年金を専門とする社労士には、いうまでもなく。
ぜひ、一度は読んでいただきたい本です。
いまの若者は貧しくても十分幸せ!
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